■楷書
(九成宮醴泉銘から)
点画を正確に書き、現在、最も標準的な書体とされています。隷書から転じたもので、六朝(りくちょう)中期に始まり唐のころ完成しました。
点画や形が簡潔ではっきりとし、間架結構の整った書体ですので、最も書きやすく、読みやすく、実用書としての中心的な存在です。
■行書
(集王聖教序から)
楷書をやや崩した書体で、楷書と草書の中間にあたる書体です。
行書の成立は楷書より早く、草書より遅くに出来た書体、漢の末頃です。この書体も楷書同様、隷書を簡易したものといわれています。
行書は、書をより早く、より書きやすく、より能率的に追求されました。点画を続けたり、省略したり時には変化させたりして出来上がった書体で、流動感の強いところが特徴です。感情表現のしやすい書体ともいえます。
■草書
(十七帖・澄清堂帖から)
篆隷(てんれい)を簡略にした書体です。
後代には、行書(ぎょうしょ)をさらに崩して点画を略し、曲線を多くしたもの。
漢末には速くて書きやすいことから草書は多く使われていたようです。形の上からも楷書・行書よりも決まりごとが少なく、定形がないことから、心の動きや感情が行書よりもさらに表現しやすい書体です。
■隷書
(乙瑛碑から)
秦の程(ていばく)が小篆(しょうてん)を簡略化して作ったものといわれています。
漢代に装飾的になり、後世、これを八分(はっぷん)または漢隷、それ以前のものを古隷といって区別しました。
■篆書
(泰山刻石から)
中国で秦以前に使われた書体です。
大篆と小篆とがあり、隷書・楷書の元になった書体です。
印章・碑銘などに使用します。